日本のみんなー。A君の家はとっても貧しくて、
食べるのも困っています。
だから、A君の貧しさをほっておけないという意思表明のために
白いバンドをしましょう。
バンドは C君が作っています。F君が売ってくれます。
アメリカでは 1個 110円($1)ですが、
日本ではいろいろなお金がかかってるので 1個 300円です。
でもみんな、バンドをつけて(購入して)
A君の貧しさをほっとけないという声をあげましょう。
「A君は貧しい! ほっとけない!」
「A君は貧しい! ほっとけない!」
いやー、日本の人達はいい方ばかりだ。
でも、A君には 1円も渡りませんけどね。
300円は消費税を払った後、C君が 30%、F君が40%、
われわれが 20%をもらい、残りの10%を、さてどうしよう…。
でもいいじゃん。有名人と同じバンドして、
優越感にひたれるんだからさ。われわれも儲かるし。
今のホワイトバンド運動の構図って、こんな感じでしょうか。ちなみにホワイトバンドプロジェクトは募金ではありません。声です。ホワイトバンドを購入するだけでは、世界の貧しさは救えません。
正直、ホワイトバンドがなんなのか昨日まで知らなかった(あまりTVを見ないので)。前回ユニセフの記事を「ほっとけない世界のまずしさ」というカテゴリーにあげた後、まわりをよく見るとホワイトバンドばかり。
なんだこれはということで調べ出したが、若い人達がろくに考えず賛同してて二度びっくりした。ということで、この先 中学生じゃ難しいかもしれないけど、ホワイトバンドとは実は何なのかを自分なりに調べてみた。
ほっとけない 世界の貧しさ
3秒に1人、子どもが貧困から死んでいます。食べ物がない、水が汚い、そんなことで。この状況を変えるには、お金ではなく、あなたの声が必要です。貧困をなくそう、という声を表すホワイトバンドを身につけてください。
ホワイトバンドのキャッチコピーだ。ここには「ホワイトバンドを身につけてください」としか書いていない。その通り、ホワイトバンドは白いものを手に巻きつければ、それだけで意思表示になる。例えば、マニフェストを見れば、アフリカの人達が手にいろんな白いバンドを巻いている。
ところがメインページに移動すると、キャッチコピーの後に「購入方法」が現れるから不思議だ。いかにも「これを買いなさい」と言わんばかり。メインページのクリッキングフィルムも見たら、有名人がみんな同じバンドをしている。日本人ならこれを見た大部分が、このバンドをしないといけないと思い込むのではないだろうか。
しかし、「これがホワイトバンドだ。購入して身につけよう」なんて一言も書いていない。当然だ。質問集 FAQにもしっかり書いてある。 このキャンペーンのゴール(目的)は、寄付を募ることでなく、啓発活動だけでもなく、啓発活動の結果として「貧困をなくす政策をみんなで選択する」ことです。さらに募金を否定している。本当にプロジェクトを理解しているなら、わざわざバンドを購入する必要はない。
では 300円で売っているホワイトバンドは何なのか。自分が思うに、巧妙な便乗商法だろう。ただ、やり方が計算されつくしている。広告塔たる有名人が多彩、300円のホワイトバンドじゃないといけないと思わせる演出、そしてホワイトバンドをすれば世界の貧しい人達を救えるという刷り込み。
その 300円の内訳が結構すごい。
ホワイトバンド 300円の内訳目安と使途 (PDF形式)
ツッコミどころ満載。
中国製シリコンゴムバンドの製造原価が90円弱(30%) ( ゚Д゚)ハァ?
国内で製造すれば原価10円でもお釣りが来るし、まして人件費が安い中国で作って 90円。どうみてもボッたぐり。中国企業まる儲け(一説ではすでに 2億4,000万円売り上げたとか)。
さらに流通費が 120円弱(40%)。ファミリーマートなど販売店の利益みたいなもんだ。ホワイトバンドが売れれば、アフリカの子ども達が豊かになることはないが、販売者は必ず儲かる仕組みになっている。
最後に活動費 90円弱(30%)。実はこれ、ネットで騒がれて改訂されている。改訂前はこれ。
改訂前 (PDF形式)
60円弱(20%)がイベントや広告活動費などがわかる。本人はノーギャラかもしれないが、事務所はそれなりのお金を貰ってるのではないだろうか。東京タワーのイルミネーションも考えれば、これかもしれない。みんながホワイトバンドを買ってくれたから実現できたのかなと。
結局、30円弱(10%)が活動費になるが、改訂前の最後には「この部分の資金管理方法や運営母体について、具体的に決まっていくのは2005年秋以降になります。上のような目的のために実際にお金が使われはじめるのは、2006年になってからになる予定です」としっかり明記されている。どうなるかわからない。ヘタすれば、うやむやの後、NGO団体が切り分けて持って行きそうな気もする。会計が不明瞭な NGO団体も参加しているし。
それでも納得しているなら買ってもいいと思う。何もしらずに買った後、実態を知って憤慨したり、落ち込むくらいなら買わない方がよい。
ただ、私はホワイトバンド運動は参加する気にはなれない。
追加質問集 more FAQs
頭がいい人向けの FAQだろうが読んで呆れてしまった。詭弁が多すぎる。また、まるで日本政府がアフリカに対し何も援助してないように受け取れるが、実はそうではない。
数字で見る日本の対アフリカ協力 【外務省】
こちらもあわせて読み比べ、分析してみるといい。少なくとも、一方だけの情報を盲信するのは非常に危険だ。
私には白いバンドをつけて「ほっとけない 世界の貧しさ」と訴えるだけでは何も解決しないと思う。むしろ、一人一人が考えて、どうしたら貧しさを脱却できるか議論する方が建設的だ。しかし、ホワイトバンドを購入した人のブログを見ると 300円のバンドを買うことに満足している人が大半なのに驚いた。中高生はそれでいいだろうが、大学生や社会人は少しどうかと思う。これでは韓流と騒いでいるおばさんと同じレベルだ。
イベントには大勢のホワイトバンドをつけた人達が集まるだろうが、主旨を理解して独自の白いバンドをした人達はどう扱われるのか少々心配だ。「偽物」と陰口を叩く人が大多数なのではないかと危惧している。しかし、そこまでいくならもう宗教だな、これは。
集まった人達が、ハーメルンの笛吹き男のように踊らされなければいいのだが。
もっと詳しく知りたいなら、追加質問集と下記のサイトを読み比べるとよい。何かが見えると思う。
whiteband? (wiki)
スレ内の重要そうな点まとめ (同wikiより)
《関連記事》
ホワイトバンド:オークションで 3,000円 (2005.9.17)
ホワイトバンド:収支報告発表 (2005.11.9)