野良里蔵狸 -norakura-

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インフルエンザ脳症を再考

 (2005年5月17日に書いた「インフルエンザ脳症」の再考記事です)。

 インフルエンザ脳症に興味を持ったのは当時連載中だった漫画「クニミツの政」だった。なまじ、6歳、2歳の子どもをもつ親としては無視できる問題ではなかったからだ。
 当時(2005年1月)は近藤教授の提唱する「インフルエンザ脳症=ライ症候群=薬害」「インフルエンザは安静にしていれば治る」「インフルエンザワクチンは効かない」等に影響を受けた。さすがに漫画の情報を鵜呑みにするのはまずいと思い情報収集を行ってみたが、意見が分かれるばかりで決定打が無かった。

 今回、新型インフルエンザを調べる課程で、当時見つけられなかった一次ソースが見つかり、ずっと気になっていた「インフルエンザ脳症=薬害」は必ずしもそうではない、「インフルエンザ脳症≠ライ症候群」なこともわかった。


  IDWR(感染症発生動向調査週報) 2005年14週(第14号)(PDF形式)

 この 3?5頁目に「インフルエンザ脳症」についての最新情報が記載されている。

 インフルエンザ脳症は毎年、インフルエンザの流行期に一致して5歳未満の乳幼児を中心に発生がみられている。インフルエンザ発症による発熱から神経症状(痙攣、熱せん妄、意識障害など)の出現までが0?1日以内と急速であり、予後は致命率30%、後遺症出現率25%と言われている(「インフルエンザ脳症」の手引き:厚生労働省インフルエンザ脳症研究班編集より)。以前はライ症候群と混同された場合もあったが、異なった病態である表1)。
 今シーズンのインフルエンザ脳症の報告一覧を表2に示す。これまではA型インフルエンザ罹患者(特にAH3)に多いとされてきたが、今シーズンはB型の流行を反映してか、第14週現在でB型罹患者からの報告が60%以上を占めている。しかしながら、全報告例は36例にとどまっており、従来1シーズンに100?300例といわれていた報告数と比べて少なくなっている。また、報告のあった自治体は17都府県であり、30道府県からの報告はなかった。インフルエンザ脳症が急性脳炎のカテゴリーに組み込まれて、全国の医療機関から報告されるようになったのは実質的に今シーズンからであるが、将来に向けてそのサーベイランスの効率性および精度を高めることは、検討すべき課題である。
 インフルエンザ脳症はこれまで小児の疾患であるとされてきたが、表2にみるように、最近高年齢者での報告が含まれている。しかし高齢者におけるインフルエンザ脳症が、従来の小児におけるものと同じものかどうかについては、今後の検討が必要と思われる。

 たしかに表1を見るとライ症候群と別物なのがわかる。インフルエンザ脳症には「最近の発症例の殆どは解熱剤は使用されていない」としっかり書かれており、解熱剤との因果関係はない。ちなみにライ症候群には「殆どの症例にアスピリンが使用されている」と書かれ、薬害の恐れがあるのはライ症候群であることがわかる。
 あえて1つ疑問をぶつけるとすればライ症候群と診断された統計が見当たらない点だ。インフルエンザ脳症が2004?2005年の冬の間に 36名発症したのはわかったが、ライ症候群はどうなったのか?。この統計に入ってるのかわからない。ここによれば、日本のライ症候群の原因究明は中途半端のまま終了しているし。

 インフルエンザ脳症について厚労省研究班の方がまとめた「インフルエンザ脳症の手引き」がバイブル的存在であり、ここにわかりやすく紹介されていた。

  インフルエンザ脳症とは小さないのち

 この8頁目「インフルエンザ脳症の病型分類」を見ると、ライ症候群らしきものが複数ある。ということは、厚労省では「インフルエンザ脳症=ライ症候群」として統計しているのだろう。

 発症した場合だが、意識障害やけいれん等を起こして、脳症かな?と思ったら、個人的には迷わず病院に連れて行くべきだと思う。手引き書には熱けいれんとの判定方法もあるが、素人判断で後で後悔するよりはマシだし、手引き書から本当にまずいと思ったら、命に関わるだけに救急車を呼ぶべきだろう。
 ちなみに冒頭のPDF文書の10ページには「◆インフルエンザ脳症が疑われた小児からのインフルエンザウイルスの分離?秋田市」の速報があり、インフルエンザ脳症と診断された 5例の治療内容が記載されている。
 ただ、インフルエンザ脳症の治療法は確立されてないので、結局はインフルエンザの予防に尽きると思う。

 一つ気になったのは国立感染症研究所がつい最近発表したインフルエンザ脳症ガイドライン。専門的すぎて半分以上理解し難いが、

  インフルエンザ脳症ガイドライン(厚生労働省 インフルエンザ脳症研究班)

オセルタミビルについては、1 歳未満の乳児に対する安全性及び有効性は確立していない。しかし、2004 年の日本小児科学会薬事委員会の中間報告など、乳児でのオセルタミビル使用市販後調査では重篤な副作用は報告されていない。したがって、現段階では脳症を発症した1 歳未満の乳児に対してもオセルタミビル使用が望ましいと考える。しかし、1 歳未満の乳児に使用する際には、患児の家族に十分な説明を行い同意を得る必要がある。

 先日、タミフルの副作用で2?3歳児が 6名死亡した可能性が学会で発表されたが、まったく考慮されていない。ただ「十分な説明の上での同意」が前提条件であり、秋田の例では 1歳男児に投与して回復したのを見ると、やも得ない事態なら仕方ない事なのかな?とも思う。
《2004.11.25追記》これについてタミフルの害と利益と題し、別見解を書きました。

 これと一緒に、脳炎・脳症の重症化と解熱剤の使用についてが情報として載っているのが。4年以上前の記事を集めたもので、解熱剤の影響による死亡率や、「解熱剤を使用しない症例でも25.4%死亡し、また比較的安全と思われるアセトアミノフェンでも29.5%死亡」とインフルエンザ脳症が薬害でない事が記されている。
 一番最後の論文に「一部では、インフルエンザには、解熱剤を使用するべきでないという意見もでている。しかし、幼児のインフルエンザでは、高熱が持続するために、非ステロイド系抗炎症剤を使用せざるを得ない症例も多い。本学会では、解熱剤を使用していないにもかかわらず、脳症を発症した例も報告された」というのは少々解せない。まるで薬を使わなくても脳症になるのだから、薬を使っても構わないだろう、とも読み取れる。資料が 6年前なので今は何とも言えないが。ちなみにジクロフェナクナトリウムを使用した例では52.0%、メフェナム酸に至っては66.7%が死亡している。

 毎年100?300人以上いたと言われたインフルエンザ脳症患者が、今年は36名(うち死亡8名)と減っているのをどう判断すべきか今一つわからない。インフルエンザ患者数自体は2004?2005の方が 2003?2004よりも多い。
 今年は全国の医療機関から報告されるようになったのが、報告した自治体は17都府県どまり。では昨年はどう集計したのかも気になる。今回少ないのは報告した自治体が少ないせいなのか、薬害によるライ症候群が減ったのかわからない。子どもに危険と言われるインフルエンザ脳症の実態がこれではお粗末な気もするし、しっかり公表する気があるのかも疑ってしまう。

 いろいろ考えてみたが、ライ症候群をインフルエンザ脳症の一種として組み込むのを見ると、薬との因果関係はやはり否定できないものだと思う。もし、インフルエンザ脳症患者が減少したのなら、アスピリン、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸の処方禁止がようやく現場に徹底されたのではないかと考えてしまう。
 そもそも「クニミツの政」がこの問題を取り上げたのは、原作者の子どもが解熱剤で危険な目に遭い、怒りから取材を始めたというのが真相らしい。ということは、その時点では解熱剤に配慮しない医師が平然といたことになる。ヘタをすれば未だに処方する医師がいてもおかしくない(いないと思いたい)。

  小児のライ症候群等に関するジクロフェナクナトリウムの使用上の注意の改訂について

 厚労省の4年前の資料だが、解熱剤投与による症例や、坐薬を含め小児禁忌のジクロフェナクナトリウム製剤の商品名が書いてある。興味深いのは子どもに限らず、広い年齢層に渡って死亡や後遺症がある点だろう。

 今はインターネットで薬を調べることができるし、危険と思ったら処方した理由を医師に直接相談すべきだろう。また、インターネット医科大学というものがあり、無料で医師に相談できるものもある。感染症内科の新着回答を読むと、担当医が「ウイルス感染症と診断しながら抗生剤を乱用する医師が多い」とぼやいてるのが何とも。

 もっとも、確率が低いとはいえ、解熱剤がなくてもインフルエンザ脳症になることがあるのは認識しないとまずい。また、インフルエンザ脳症の場合は発症から重篤化が異常に早く、明確な治療法もない。インフルエンザに罹らないよう予防するのが一番の対策だと思う。
 予防と言えば、インフルエンザワクチン接種が一番というのが世間一般論だがこれには疑問がある。これについては近日中にまとめたいと思う。

# なるべく資料を元に検証してみたのですが、
# 医療関係者ではないので所詮は素人意見です(´・ω・`)
# 専門家からみて誤解などがございましたら幸いです。
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